ねこのすっぱ抜きサラダ 国内作家
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グスコーブドリの伝記 宮澤賢治原作 絵・司修 感想

グスコーブドリの伝記 (ポプラ社の絵本)
ポプラ社(2012-07-02)
売り上げランキング: 34653

6点
2012年にアニメ映画化された司修の絵本。原作は宮澤賢治。
銀河鉄道の夜を推しておきながらなんですが、未読の作品でした。
絵本化されるにあたってだいぶ割愛されているようで、説明不足の感は否めませんが、絵の世界観が気に入ったので購入しました。

主人公ブドリは幼い頃に両親を失い、唯一の心の支えだった妹・ネリとも悲しいかたちで生き別れになってしまう。
家族を捜すべく家を出たブドリは、世話になった農家のために農業を学び、世界を飢饉から救うべく、ただ一人自らを犠牲にして火山を噴火させる。噴火によって空気中の温室効果ガスを増やし、世界中を温めようという、テラフォーミング的な発想をあの時代にすでに考えていたのかと思うと驚きだ。
ブドリの生涯は作者の面影と重なる部分が多い。残念ながら賢治の妹は病によって帰らぬ人になってしまいましたが、作中でブドリは妹との再会を果たしている。自己犠牲を払ってでも世界を救おうとするブドリの行動は、自分の命と引き換えにしてでも妹を救い出したかったという宮澤賢治の強い想いの表れなのだろう。久し振りに触れた賢治の世界観は、やっぱり優しかった。そんなお話。

theme : 絵本
genre : 本・雑誌

tag : 絵本 ファンタジー 感想 レビュー

NO.6 beyond あさのあつこ 感想

NO.6〔ナンバーシックス〕 beyond (YA!ENTERTAINMENT)
講談社(2012-11-22)
売り上げランキング: 78190

6点
NO.6崩壊後の”それから”を描いた短編集。
紫苑という媒体を通して人間の情に触れるイヌカシやネズミ。
それとは裏腹に、優しさだけでは世間を渡っていくことはできないことを悟る紫苑。
変革のときは、少しずつ、だが着実に訪れようとしていた。

NO.6外伝という単発ものだと聞いていましたが、それ以上を期待できる展開ではないだろうか。本編では語られなかった紫苑の出生の秘密が描かれており、続編の構想があるとしか思えない含みのあるラストになっている。
久しぶりに触れたNO.6の世界観は、なんだか面映ゆいのだけれど、やはりどこか心地良かった。
ビヨンド2巻、期待してます!
ところで、アメリカ版NO.6と銘打たれたマリー・ルーの『レジェンド』シリーズはどうした!! 早く読ませろやい!
ヽ(`Д´)ノ キエーッ!

theme : SF
genre : 本・雑誌

tag : SF 小説 あさのあつこ NO.6

エリ・エリ 平谷美樹 感想

エリ・エリ (ハルキ文庫)
角川春樹事務所(2005-05)
売り上げランキング: 388418

6点
神は実在するのか?
近未来、人類の意をとらえたのは、信仰ではなく、めまぐるしく発達したテクノロジーだった。
神の実在を疑い、地球外生命体へと興趣が移ろいつつある中で、半ば形骸化していたSETIのアンテナが謎の通信波を受信する。
神とは何か? 地球外知生体は神たりえるのか?
第1回小松左京賞受賞作品!

「エリ、エリ、レマ、サバクタニ……」
(神よ、神よ、なぜ私を見放すのですか)
キリストが残した最後の言葉が本書のタイトル。
信仰のため、人類の発展のため、ふたつの思惑からはじまった系外惑星探査計画に一筋の光明がさした。大量のニュートリノが検出されたことによって、知的生命の存在が明らかになったのだ。
神を求める者と、その実在を恐れる者……。人類はどちらの道を歩むべきなのか?
物語は、キリストの受難からはじまり、日本の田舎町、木星の衛星軌道上に造られた宇宙都市アヴァロンへと舞台を移す。
文体は簡潔でテンポが良く、難しい用語もスラスラ読める。
ハードSFの部類に入るのに、あっと言う間に読み終えました。
終盤の展開には不満を覚えましたが、続編があるとのことなのでそちらに期待。
ジェイムズ・P・ホーガンの名作『星を継ぐもの』や、ジョン・ヴァーリイの『へびつかい座ホットライン』を彷彿とさせますが、完成度はやや見劣りするといったところか。とはいうものの、上記2作品と比べるのはちょっと厳しい。なにしろ本書は作者のデビュー作なのだし、続編を読んでないのだから。(この完成度で処女作とは恐れ入ります)
その続編、アマゾンのレビューを覗くと「そうでもない」という評価なのが気がかり。
しかし、本書単体でもじゅうぶん楽しめるので合格点の6点。
なに、評価の基準がわかりづらい? 
(*/∀\*) ウフフフフフ……
黙して語らず。

theme : SF
genre : 本・雑誌

tag : SF 感想 レビュー

The Indifference Engine 伊藤計劃

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)
岡和田 晃
早川書房(2012-03-09)
売り上げランキング: 22187

6・5点
本書は伊藤計劃がものした短編小説集である。

女王陛下の所有物……007へのオマージュ作品。(漫画)
The Indifference Engine……民族紛争に翻弄される少年兵の話。
Heaven scape……虐殺器官と対をなす物語。
フォックスの葬送……虐殺を扇動する米兵がいるという。その真相とは?
セカイ、蛮族、ぼく……蛮族の汚名を着せられた少年を描くショートショート。
A.T.D:Automatic Death■EPISODE:0……孤独なバイオテロリストの肖像。(漫画)
From the Nothing,With Love……魂をコピーされ、永遠に再生させられるスパイの話。
屍者の帝国……死者に魂をインストールして甦らせることのできるIFの世界。盟友である円城塔の手で長編化された物語のプロローグ。

日本SF界にとどまらず、日本の文壇は惜しい才能を喪ったものだとつくづく思い知らされる、思弁性を秘めた短編群。The Indifference Engineは、戦争の悲惨さがひしと伝わってくる作品。単なる反戦という枠組みを超越して、戦争というものがこの世には確かに存在しているんだ、ぼくらと同じ”人間”が、今この時も地獄のような生活を送っているんだ、と実感させられる。
そしてもう一つ、著者が関心を抱いていたのは、From the Nothing,With Loveなどで描かれている”意識”の問題だろう。人間という一生物にとって意識とは何か、そして”魂”の本質とは? この問題は、長編『ハーモニー』にも引き継がれている。
平和な日本にあって、なかなか意識しないテーマに「目を向けろ!」と言わんばかりに、その卓越した超絶技巧でもってグイグイ差し迫ってくる。魂とは何だ、意識とは、心とは、命とは!?
命というものに直接向き合った著者ならではの緊張感(テンション)が、このリーダビリティを生んでいるのだろうか? 伊藤計劃なくして今後のSFは語れない。読みごたえじゅうぶんな一冊です。

theme : SF小説
genre : 小説・文学

tag : SF 感想 レビュー

ハーモニー 伊藤計劃

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
早川書房(2010-12-08)
売り上げランキング: 3568

8点
体内に微小なロボット”ナノマシン”を容れることによって健康を管理される世界。アルコールやニコチンを摂取すると、生府(政府の垣根を越えた組織)に通報され、罰せられてしまう。人類は、プライバシーを喪うことによって、”管理された自由”を享受している。
そんな世界に嫌気がさした女子高生が集団自殺を試みるものの、死ぬことに成功したのはただ一人、ミァハだけ。
13年後、医療軍に従事しているトァンの目の前で、全世界同時自殺が発生する。病気のなくなった健全なユートピア世界で、なぜ、自ら死を選んだのか?
人類を管理するシステムは、是か非か? 体調を完璧にコントロールするシステムが人類にもたらすものとは?

自由とは何か?
病を駆逐するために、常にメディカルチェックされ、栄養管理も万全の状態に保たれる。病気によって人の行動は制限される。それは病によって自由を奪われるということ。では、病気にならないように体調を管理されるとしたらどうだろう? 好物の肉ばかり食べていると、管理システムから警告が出る。しぶしぶ野菜を摂取してはじめて健康という自由が手に入る。それははたして幸せだろうか? しかも、健康管理は肉体だけではなく、精神面にも及ぶ。映画や小説からは過激な描写が削除され、前時代のフィクションは閲覧を禁じられてしまう。誰もが平均的な体型を維持し、平均的な思想を抱いている。そんな社会はユートピアか、ディストピアか?
なにも生まれたときから管理されているわけではない。成長期の子供たちは常に細胞が変異しているため、ナノマシンによる管理はできない。したがって、自由を謳歌できるのは子供だけ。だからこそ彼女たちは自殺を図らなければならなかった。管理されないため、しいては”自由”のために。
体の仕組みがすべて解明されたとき、人類が自由と引き換えに「失うべきもの」が明らかになる。人類にとって邪魔なもの=無駄なものとはいったい何なのか!?
『虐殺器官』を遥かにしのぐ驚愕の世界が待ち受けている!
本書は独立した物語ではありますが、虐殺器官以降に成立した世界設定になっているので、順番に読んだ方がおもしろい。作風はまったくの別物で、『ブギーポップ』シリーズのようなシニカルなヤングアダルトものとしてはじまり、人類全体を巻き込む壮大なスケールに発展し、深遠なテーマを残して幕を閉じる。SF界にとどまらず、文学史に名を遺す傑作です!

theme : SF小説
genre : 小説・文学

tag : SF 感想 レビュー

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Author:えんまる
SF・ファンタジー系の小説、漫画、映画のレビューおよび、8匹のねこが生息するペットブログを展開中☆

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採点は10点満点です。
6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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