ねこのすっぱ抜きサラダ 凍りついた香り 小川洋子 書評
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凍りついた香り 小川洋子 書評

 6点

 フリーライターの涼子は、遠いプラハの地に降り立った。恋人・弘之の面影を探す旅が幕を開ける。彼は何の前触れもなく自殺してしまった。あとに残された私は、彼の実家で少年時代の思い出に浸り、数学のコンテストで訪れたというプラハにまで足を運ぶ。そこで私は、弘之の人格形成を決定づけた、ある事件の真相にたどりつく。

 どこまでも完璧に見えた恋人が一瞬で遠い人になる。けんかをしたわけでも、悩みを抱えていたわけでもない。一体なぜ、彼は死んでしまったのか? 子供時代の思い出をひも解いた先に、死の謎を解明する手がかりがあるのだろうか? 主人公・涼子は、彼の家族、元恋人、数学コンテストの関係者を取材する。しかし、死の真相はあいまいなままだ。あらすじにある”事件”というのも、単なる足がかり的なものであり、死と直接結びついているわけではない。単行本の帯には「ミステリー」とはっきり書かれているが、どちらかというと本書は純文とかラブ・ロマンスに近い。少女マンガ好きならすんなり受け入れられるはずだ。
 本書の評価は読み手によってはっきり二分すると思われる。ネット上のレビューを覗くと、大抵は絶賛されているのだが、それ以外の読者は、掴みどころのない物語に辟易するかもしれない。
 ミステリーのような劇的な展開を見せることなく物語は幕を閉じる。死んだ恋人が調香師だというだけあって、匂いに関する描写に官能性を見出すことができるものの、他の小川作品に見られる、一種グロテスクなフェティシズムも鳴りを潜めており、物足りなさを感じるのではないだろうか。
 本書のテーマは「純愛」である。あくまでも透明で儚い、秋の風のような物語に仕上がっている。それを念頭に置いて読んでほしい、そんな一冊でした。
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