グスコーブドリの伝記 宮澤賢治原作 絵・司修 感想
グスコーブドリの伝記 (ポプラ社の絵本)
posted with あまなつ on 2013.06.16
ポプラ社(2012-07-02)
売り上げランキング: 34653
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6点
2012年にアニメ映画化された司修の絵本。原作は宮澤賢治。
銀河鉄道の夜を推しておきながらなんですが、未読の作品でした。
絵本化されるにあたってだいぶ割愛されているようで、説明不足の感は否めませんが、絵の世界観が気に入ったので購入しました。
主人公ブドリは幼い頃に両親を失い、唯一の心の支えだった妹・ネリとも悲しいかたちで生き別れになってしまう。
家族を捜すべく家を出たブドリは、世話になった農家のために農業を学び、世界を飢饉から救うべく、ただ一人自らを犠牲にして火山を噴火させる。噴火によって空気中の温室効果ガスを増やし、世界中を温めようという、テラフォーミング的な発想をあの時代にすでに考えていたのかと思うと驚きだ。
ブドリの生涯は作者の面影と重なる部分が多い。残念ながら賢治の妹は病によって帰らぬ人になってしまいましたが、作中でブドリは妹との再会を果たしている。自己犠牲を払ってでも世界を救おうとするブドリの行動は、自分の命と引き換えにしてでも妹を救い出したかったという宮澤賢治の強い想いの表れなのだろう。久し振りに触れた賢治の世界観は、やっぱり優しかった。そんなお話。
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