ヒュペルボレオス極北神怪譚 クラーク・アシュトン・スミス 感想
ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)
posted with あまなつ on 2013.06.27
大瀧 啓裕
東京創元社(2011-05-28)
売り上げランキング: 304327
東京創元社(2011-05-28)
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6点
クラーク・アシュトン・スミスの手になる幻想怪奇小説集第2弾。
遠未来を想定して描かれた「ゾティーク」モノとは違い、本書では失われた古代文明が舞台。
表題になっているヒュペルボレオスを扱った神話や、アトランティス文明を舞台にした怪奇小説などが収録されている。一部、親交のあったH・P・ラヴクラフトが創作したクトゥルー神話とのリンクも見受けられる。
中でも特筆すべきは、邪神を信仰する魔術師を追って土星へと渡り、異形の神々と遭遇する魔術師を描いた土星の扉が圧巻。
他に、邪神ツァトッグアの神殿に侵入した男たちが経験する恐怖を描いたサタムプラ・ゼイロスの話、伝説の魔導師にまつわる怪異譚マリュグリスの死、失われたムー大陸にまよいこんだ考古学者の末路を描く月への供物もおすすめ。
ただ、全体的な完成度で言うとゾティーク幻妖怪異譚の方が一枚上手か。