ビスケット・フランケンシュタイン 日日日
ビスケット・フランケンシュタイン (メガミ文庫)
posted with あまなつ on 2012.09.17
toi8
学習研究社(2009-05)
売り上げランキング: 155822
学習研究社(2009-05)
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6点
謎の奇病により患部が壊死し、肉体が非物質に変わっていく世界。しかし患部は人間外のモノに変わっても、組織としては”生きている”状態。患者を生存させるには、壊死した箇所に健康な体を移植しなければならない。そんな中、”患部のみ”をつなぎ合わせた実験体に魂が宿るという事態が発生。彼女の名はビスケット。永遠に死ぬことのないメトセラがたどる数奇な運命を描いたSF長編。
主人公は不老不死。なので、物語は、奇病が発生した過去、現在、近未来から遠未来へとつづく。
研究者と患者の報われない恋、奇病を患った少女と母親の歪んだ愛情、仮想現実に没入する世界に隠された意外な真実、そして、ビスケットの真の目的が明かされる最終話。目のくらむような果てし無い救済方法が提示される。
ライトノベルとして出版されたからなのかあまり高い評価は得られていないようなのだが、テーマとしてはイギリスのSF作家、J・G・バラードの破滅モノと同じ路線である。じっくり構想を練る余裕さえあれば、もっと完成度の高い物語になったのではないだろうか。
ライトノベルというと、物語を量産してなんぼ、というイメージがある。それだけに、発想は良いのに結末が惜しい、という作品に出くわすことが多々ある。本書はその中でもよくできている方だと思うのですが、どこか物語に空隙があるような感じを受けました。
作者はまだ26才だということですが、作品数は多く、ラノベに限らず手広く執筆活動をしているもよう。他の作品も手に取ってみようと思います。

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