ねこのすっぱ抜きサラダ 海外作家

ルビコン・ビーチ スティーヴ・エリクソン 感想


6点
難解な小説は、読んでいる途中は放り出したくなってしまいがちだが、読み終えると奇妙な達成感とともに満足感を覚えるものだ。この作品もそんな難解な作品の一つである。

刑務所を出たケールは、仲間を看守に売ったことを後悔していた。
彼が向かったのは水浸しになったかつてのロスアンジェルス。
そこで彼は謎の女による殺人現場を目撃する。
しかし現場に残されていた血痕は驚くべき事実を物語っていた。

物語はケールが目撃した女を中心に語られていく。
彼女は時代も舞台も超越した存在であり、常に周囲の環境を破壊していく。
本書の終盤においてついに男は彼女を捕まえることに成功するが、ふと気がつくとまた彼女の姿は忽然と消えている。
この物語を理解しようと苦心しながら読み終えたが、本書を楽しむには無理に本筋やテーマを解題しようとしない方が良かったのかもしれない。
読み終えたときに覚えた感覚からは、アラン・ロブ=グリエ消しゴムに見られたようなヌーヴォー・ロマンのそれに似ていた。
物語にはっきりとした起承転結があるわけではなく、それを超越したテキストが目の前に広がっている。
読む者の理解など必要ないと割り切っている感がありました。
いっそのことそう言われた方が心地良いくらいです。
でも読み手を選ぶだろうな、と思ったのでここでの評価は6点としておきます。
あー、難しかった!

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tag : レビュー

スティーヴン・キング セル

 

5点
あるときを境に世界は一変した。
携帯電話から発せられたパルスを浴びた人々が豹変し、次々と破壊行動にかりたてられたのだ。
発狂した群衆、夢の中に現れるフーディーの男の目的とは?
そして最愛の妻子は無事なのか?

久しぶりにキングを読みました。
なんでもない描写をぐいぐい読ませる力はさすがです。
でも、本書は少しアイディア不足だった感がいなめない。
携帯人(いわゆるゾンビ)が怖くない、というか大人しい。
このテーマは後のアンダー・ザ・ドームに引き継がれ、
良質のエンターテイメントに昇華されているのだと思うのだけれど、
ゾンビものとしては失敗だったんじゃないかと思います。
ちなみにぼくはまだアンダー・ザ・ドーム未読です。
持ってはいるんだけど分量が多すぎる。
それでも読ませるのがキングなのだとはわかってるんですけどね。
今回はちょっと物足りない感じでした。

theme : 読書感想文
genre : 小説・文学

tag : レビュー 感想 ホラー

遠い声遠い部屋 新装版



新潮文庫の「遠い声遠い部屋」の新装版が出てたっ!
母親を亡くした少年ジョエルの、暗鬱としていながらもきらめくような日々をつづった、まるで宝石のような作品。
作者は「ティファニーで朝食を」のトルーマン・カポーティー。
絶対読んでほしい一冊。
「銀河鉄道の夜」に匹敵する唯一無二の傑作少年小説。
旧版の表紙の方が好みだけど、帯が付いてたんだよなあ。
東京喰種の新刊と一緒に購入するかもですっ

theme : 海外小説・翻訳本
genre : 小説・文学

バフォメット クロソウスキー 感想

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6点
ド・パランセ夫人であるサン=ヴィは、孤児となった甥を引き取ることで広大な領地を手に入れようと画策する。
しかしその土地は、聖堂(テンプル)騎士団に寄贈されていた。
聖堂騎士団を転覆させようと考えたサン=ヴィは、男色家たちの秘儀に引き取ったばかりの甥・オジエを送りこむ。
秘密の塔で執り行われる秘儀によって凌辱され、命を落としたオジエだったが、その魂は朽ちることなく永遠にこの世をさまよいつづけるのだった……。

マンディアルグと並び称されるフランス文学界の怪人クロソウスキーの異端小説。
内容はエログロながら、キリスト教に対するアンチテーゼを謳った宗教小説の側面をも合わせ持つ。
訳者あとがきにいわく、「クロソウスキー流の神秘的エロティスム形而上学の極致」であり、浅田彰氏によるところの、一見「荒唐無稽なポルノ霊界小説」なのだが、そこはクロウスキー、通り一遍にはいかないのである。
読んでる最中ははっきり言って何が描かれているのかさっぱりだったのだが、両氏による詳細な解題を読んでいるうちに、自分がとんでもない怪作を読んだ気になってきた。
これはもう一度読まなきゃならないパターンや!
(それでも、読書スケジュールにしたがって動く機械人間えんまーるは次の本に取りかかるのだった!)
いわゆる痛快な娯楽小説ではないし、胸をはって「これは面白いぞ」と言えるような類の本ではありませんが、読後の達成感には満足しています。
マンディアルグ好き、奇書好きな方におすすめです。



theme : 最近読んだ本
genre : 本・雑誌

tag : ファンタジー 感想

イヴの物語 ペネローピ・ファーマー 感想


6・5点
アダムとイヴの物語。
楽園に生まれ、永遠の生命に恵まれながら、なぜ二人はその権利を放棄したのか?
絶対に食べてはならない禁断の果実はなんのために存在していたのか?
これは創世記をイヴの視点から描いた物語。
オンナが女であることを確立するための、自立にいたる物語。
楽園を舞台にくり広げられる荘厳な神話の世界。

豊穣な物語だな、というのが率直な感想
神でもアダムでもなく、イヴの視点で描くことによって、神話に新たな解釈を加えている。
いや。あとがきを読むと、こちらの方が神話の実態に近いようだ。
神話というのは時を経るごとに第三者によって都合よく編纂されていることがままある。
作者は膨大な資料をひもといて本書を執筆したらしい。
物語の主眼は、イヴがなぜ知恵の実を食べたのか、というところにある。
それをひもとく鍵が「語り」だ。
「蛇」が語るところによると、エデンは時間を超越していて、未来を視ることも可能なのだという。
そこで重要になってくるのが「語り」すなわち「物語」である。
蛇は物語を通してイヴの自立心に火をともした。
そうしてイヴは、神の支配下から逃れ、一人の女性として自立する。
創世記では、世界を創る力を与えられていたのはアダムだけだが、知識を得て文明を興すことによってイヴもまた世界を造ることができるようになった。
神に性はない。天使も同様だ。しかし、神はなんらかの気まぐれによって性をつくった。
書き換えられた聖書には、副産物である女性に世界をまかせるわけにはいかないという男性的な目線が入っていたのではないだろうか。
失楽園とはすなわち、男にとっての楽園、男性優位社会の崩壊に他ならない。
本書に登場するアダムは気まぐれでぼんやりしており、イヴの自立を良しとしない。
楽園を追放されたのち、蛇から教わった知識によって世界を切り拓いたのはイヴだったのだと作者は言う。
今日存在する文明の礎をつくったのは、イヴだったのではないだろうか。
本書は神話の世界を舞台にした類い稀なラヴ・ロマンスであり、それ以上に重厚なフェミニズム小説の体裁をとっている。
ミルトンの失楽園とあわせて読んでもらいたい。

theme : 最近読んだ本
genre : 本・雑誌

tag : ファンタジー 感想

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SF・ファンタジー系の小説、漫画、映画のレビューおよび、8匹のねこが生息するペットブログを展開中☆

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採点は10点満点です。
6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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