ねこのすっぱ抜きサラダ 国内作家
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虐殺器官 伊藤計劃

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
早川書房(2010-02-10)
売り上げランキング: 2995

7点
世界中で繰り広げられる大量虐殺の影に、その男はいた。
ジョン・ポール。果たして彼は何者なのか?
近未来のテクノロジーによって無痛化された暗殺者”ぼく”は、ジョン・ポールの足跡を追ううちに、人類を突き動かす虐殺器官の存在にたどりつく。世界は、そして人類は、戦争を止めることができるのか?

物語は、スパイ小説として幕を開ける。
テロ以降の世界が傾きつつある、過度なまでの個人情報管理社会。痛覚を無効化させるパウチ。網膜に投影される膨大な情報。傷口を自動で修復するナノマシン……。なんだ、近未来アクションものか、はたまた戦争シミュレーション小説か、と思って読み進めると、物語は中盤からラストにかけて、とんでもない大化けをかましてくれる。
ジャンルとしては、言語SF(そんなのあるの? あるんです! 神林長平『言壺』、川又千秋『幻詩狩り』、山田正紀『幻象機械』も入れちゃっていいかな?)なのだが、謎の男”ジョン・ポール”は、かつてない壮大な計画を内に秘めていた!
読了後、思わず長い溜息が出る。押井守の『イノセンス』に、神林長平の『戦闘妖精雪風』のエッセンスをくわえた感じ。
SF評論家・山岸真が言うように、本書は「9・11以降の時代を真正面から見すえ」た、テロがテーマの作品。どうすればテロをくいとめられるか、大胆な大仕掛けを用いて果敢にアプローチしている。それが是か非かは置いといて、一フィクションとして素直に楽しむべきだろう。
奇しくも今日、アメリカでテロとみられる爆発事件が発生しました。この作品のレビューを上げるべきかどうか迷う部分もありましたが、これも一つの運命だろうということで、アップすることにしました。間違いなくオールタイム・ベスト級の作品です。
作者は、2009年に34歳の若さで亡くなりました。あまりにも惜しい! 悔しい! 文壇にとってかけがえのない才能を失ってしまったのは大きな痛手だと思います。
解説にいわく、「両足がなくなってもいいから僕はあと二十年、三十年生きたい。書きたいことがまだいっぱいある」
もっともっと長生きをして、もっともっと強烈なインパクトを遺してほしかった! 伊藤計劃最高!
目下えんまるは、引きつづき、第二長編『ハーモニー』をひもといております。まだ途中までしか読んでませんが、これもまた傑作の予感。しばし待たれよ!

theme : SF小説
genre : 小説・文学

tag : SF 感想 レビュー

(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集および2666

(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集
新潮社(2013-01-22)
売り上げランキング: 10425


今回は未読の本の紹介です。
以前レビューした安部公房の未発表作品『天使』を収録した本がついに出版されました。
なんでも、単行本未収録だった作品を中心に集めたものなのだとか。
よ、読みたい……!
だがだがしかし!
読書スケジュール及び予算の都合上、まだ購入すらしてません!
(けちぃぞ、えんまるぅ!)←みなさんの声
ああ、読みたい。
読みたい本が多すぎる。
ロベルト・ボラーニョ『2666』……
高い高い高い!
誰とは言わんが、作品全集……
高い高い高い!

2666
2666
posted with あまなつ on 2013.02.13
野谷 文昭
白水社(2012-09-26)
売り上げランキング: 52923


theme : 本の紹介
genre : 小説・文学

ラピスラズリ 山尾悠子

ラピスラズリ (ちくま文庫)
筑摩書房(2012-01-10)
売り上げランキング: 9871

7点
寡作の作家、山尾悠子が描く滅びの物語。
銅版……ふらりと立ち寄った画廊で目にした三枚の銅版画。そこに描かれているのは、本書に収録されている物語を象徴する”冬眠者”の姿だった。
閑日……城に暮らす冬眠者と亡霊の出会いの物語。
竈の秋……廃れゆく冬眠者の滅びの物語。
トビアス……滅亡の危機に瀕した日本。孤独に陥る一人の少女の物語。
青金石……1226年。フランシスコ会を興したフランチェスコと冬眠者の青年の邂逅。

巻頭を飾る「銅版」には、後につづく「閑日」と「竈の秋」2篇の連作短編を連想させる銅版画が登場する。城に暮らす冬眠者と、彼らに仕える使用人の物語である。残りの2篇もテーマは共通しているが、舞台設定が大きく異なる。
冬眠者たちは、決して人類よりも優れた存在ではない。長い冬眠のあいだはきわめて無防備で、人類の助けがなければ生き永らえることはできない。そういった意味では、彼らの足場はもろく、強者であると同時に弱者でもあるといったところだろう。
「トビアス」は前の2篇よりも現代に近い日本が舞台。ここでは冬眠者は明らかに、弱者=マイノリティとして描かれている。主人公いつきがこの後どういった運命をたどることになったのか、作者はあえて語ろうとしない。しかし、この先に幸いが待ち受けているとは思えない。
「青金石」の舞台は1226年であり、冬眠者は異端としてあからさまに忌み嫌われている。”メトセラ(不老長寿)”は科学が発達するとともに表舞台から姿を消し、人類が滅亡の危機に瀕したときにふたたび人々の前に現れたのだろう。そこではじめて、人類とメトセラの立場が逆転し、使用人を抱える一国一城の主にまで上り詰めたと考えられる。しかしその栄光も長続きはしなかったとみえて、物語は静かな終焉へと向かって収束していく。

全編を通して感じられるのは、静謐な空気感である。小川洋子さんの文体を思い浮かべてほしい。両者に共通するのは、硬質で清涼な世界観である。この優れた作家が長期にわたって休筆していたというのは実にもったいない気もするが、その期間すらも彼女の作品をより神秘的に魅せることに一役かっていると言えるだろう。彼女の作品は国書刊行会から「山尾悠子作品集成」として一冊にまとめられている。読みたいけど、高価すぎて(9240円)手が出ない。。゚(ノД`)゚。
幻の作家のカムバックを強く望む! 過去の作品も読みたいが、ぜひとも新作もお願いします!

theme : ファンタジー小説
genre : 小説・文学

tag : ファンタジー 感想 山尾悠子

ビブリア古書堂の事件手帖ドラマ化決定!

bibu.png

大人気ライトノベルシリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』が剛力彩芽主演で月9ドラマ化されることが発表された。
あの栞子さんが剛力彩芽!?
原作ファンは「微妙www」という反応を示している。
剛力彩芽と言えばショートヘアですが、髪を伸ばすわけでもなく、かつらをかぶるわけでもないそうで、イメージにそぐわないという声多数。
しかも、ドラマは月9。
原作のイメージを覆し、栞子といえば剛力、という印象を与えられるかどうか、彼女にとってはこれから女優として活動するうえで最大の試練となりそうだ。当たれば大きいけど、外れたら厳しいですね。
上の画像にもありますが、シリーズ4巻は来年の2月発売予定。これまで3巻で累計100万部を突破しているようなので、これからも要チェックのシリーズですね。
来年楽しみですなあ。(`・ω・´)
それでわ、また。

theme : TV番組
genre : テレビ・ラジオ

tag : ドラマ ビブリア古書堂の事件手帖 剛力彩芽

新潮 2012年12月号 安部公房未発表作品『天使』

新潮 2012年 12月号 [雑誌]
新潮社(2012-11-07)
売り上げランキング:

安部公房の未発表作品が発見された。
新潮2012年12月号掲載の『天使』がそれだ。
なんでも安部公房が23歳の頃に書いた初期作品なんだとか。
本書は、書店に並んだとたんに即完売したそうで、重刷され、書店に並ぶのは20日以降だとされていたのですが、今日!(11月18日)書店に行ったところ、見事に平積みされていたため、即購入。
アマゾンでは価格が倍増しているので、定価で購入するなら今がチャンスです!
SFファンとしては、SFという言葉が誕生する前からSFを書いていた安部公房はリスペクトの対象なのだ。
まだ読んでいないので、お薦めできる作品なのかわかりません。近日中にもレビューを載せますが、それまで売れ残っているか微妙です。なにしろ遅読中の遅読なものですから。。。
まあ、文芸誌を置いてある図書館を探して、単行本化してから購入という手もありますけどね。楽しみ楽しみ。 ((´∀`))♪

追記:よく見たら、これって短編なんですね。「全文一挙掲載」とか言うから勝手に長編だと思ったじゃんか、チェッ。安部公房の小説を読んだら、とりあえず感想アップしときます。短篇ということは単行本化はなさそうですね。既存の短編集に組み込むんだろうか。

追記:『天使』解題
部屋に閉じ込められている或る男の物語。
或る日、男は、自分を取り巻くすべての閉塞が、実は自由への入り口であり、自分に関わるすべての人間が”天使”だということに気づく。やがて男は部屋を抜け出し、天使の国をさまよいつづけるのだった。

男は、自分のことさえも天使だと位置付けているが、周囲の人間からは冷笑や恐怖の対象としてとらえられている。解説にある安部公房の書簡では、「或る狂人が病院から逃げ出す。そして其処を天使の国だと思ひ込むのだ」と記されている。
これは、一人の狂人が真に狂っていく様を描き出すと同時に、自由への解放の物語でもある。全11ページの短編ですが、満足のいく内容でした。久しぶりに安部公房の他の作品でも引っ張り出してみようかと思ってしまうえんまるなのでした。

theme : オススメ本
genre : 小説・文学

tag : 安部公房 SF

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採点は10点満点です。
6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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