ねこのすっぱ抜きサラダ ジェフリー・フォード

緑のヴェール ジェフリー・フォード 書評

 5点

 クレイは、美薬を村に蔓延させた責任をとらされ、ウィナウを追放されてしまう。クレイが愛犬ウッドとともに向かった先は、アーラが消えた楽園”彼の地”である。旅には魔物ミスリックスも同行していたが、魔物の社会から受け入れられず、崩壊した理想形態市ウェルビルトシティに帰ってしまう。その後、物語は、ミスリックスの手記というかたちで進行する。
 クレイは旅の途中、言葉の民や緑人ヴァスタシャ、土着民と凄惨な殺し合いを繰り広げている砦の住民などと出会い、”彼の地”を目指す。
 一方、ウェルビルトシティでは、ミスリックスがウィナウの村人との交流を深めつつあった。そんな中、ミスリックスは、根強い魔物嫌いを示す人々からあらぬ疑いをかけられてしまう。すなわち、村の救世主であるクレイは、すでにミスリックスの手によって殺害されているというのだ。
 はたして、クレイは生きているのか、死んでいるのか? クレイの旅は、ミスリックスの妄想にすぎないのだろうか? 物語は、ミスリックスの裁判と、彼が書き進めているクレイの冒険譚をベースに展開していく。

 クレイの冒険譚は、流麗な文体を用いて丁寧に描かれているが、物語自体は冗長で退屈だった。犬が同行しているとはいえ、やはり独り身の旅なので、ストーリーに起伏がなければつまらない。もっと劇的な展開がほしかった。よりによって出てきたのが、言葉を話さない部族では、起伏のつけようがない。なぜ言葉を話さないのか、その設定も曖昧なままだ。
 クレイは旅の途中、さまざまな人物と出会うが、どれもこれもピンとこない。ネタバレになるので詳しく書くことはしないが、どれをとっても説明不足の感が否めない。ある登場人物が死ぬのだが、次のシーンでは何事もなかったかのように生き返っている。なぜ一度殺したのか説明がない。ファンタジーってこんな感じだったっけ? 自分ではファンタジーもイケると思っていたのだが、ついていけなかった。

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記憶の書 ジェフリー・フォード 書評

 5点

 理想形態市ウェルビルトシティを追われたクレイは、他の生存者とともに楽園・ウィナウで暮らしていた。そこに、元独裁者・ビロウの手になる機械鳥が飛来し、”眠り病”をバラ撒いていく。一向に目を覚まさない患者たちのため、クレイは再びウェルビルトシティを目指す。しかし、ビロウ自身もまた、事故によって眠り病に冒されていた。
 クレイは、ビロウの息子を名乗る魔物の力で、ビロウの記憶世界に侵入し、眠り病の特効薬を探すことになる。

 さて、感想なのだが、一読、面白くなかった。あらすじを読むとミステリーの要素があるのかな、と思われるだろうが、そんなことは一切ない。いっそミステリー仕立てにしてほしかったくらいだ。前作の出来がよかっただけに、残念。
 記憶世界に入り込む、という話を聞いて、以前レビューした「ゴルディアスの結び目」や映画「ザ・セル」のように、少年時代のビロウが登場して、悪夢的な世界を彷徨いながら特効薬の手掛かりを探し出す、という筋書きを想起したのだが、ビロウが登場するのはラストだけで、秘密の鍵を握っているわけでもなんでもない。そもそも、物語の「鍵」自体存在しない。
 小説版「ソラリスの陽のもとに」の読者が、リメイク版映画「ソラリス」を観てガッカリする感覚に似ている。こんなことで、三部作の完結編にあたる「緑のヴェール」が成立するのか? あとがきによれば、主人公はクレイではないらしい。どうやって物語を高みに持ち上げるのか、著者の手腕に期待しつつ、今回は筆を置く。頼んだぞ、緑のヴェール……。

白い果実 ジェフリー・フォード 書評

 6・5点

 観相__人の体や顔の造りを計測し、その人物のひととなりや未来を占う学問。
 一級観相官クレイは、不老不死をもたらすとされる白い果実の行方を探るため、辺境の地へと出向させられる。白い果実は、鉱山の坑道から発掘されたミイラが持っていたもので、たった今熟したばかりのように見えるのだという。クレイは、地元の娘・アーラを助手として雇い、捜査を開始する。はたしてクレイは白い果実を見つけ出すことができるのか?
 と、ここまでが第一部。物語は二転三転し、第二部の魂の救済、第三部・反乱編へとつづく。

 青く結晶化する奇病、幻覚をもたらす美薬、森の奥にあるという伝説の楽園、森に住まう魔物、理想形態市ウェルビルトシティに鎮座する独裁者ビロウ、人狼、サイボーグ剣闘士、超常能力と、本書に詰め込まれた特異な設定を挙げてみたが、下手なSFやファンタジーと違って、重量感のある物語に仕上がっている。
 冒頭部分は作品世界の説明にページが割かれていて読みづらいが、100ページを過ぎた辺りから、重厚な設定が活きてきて、夢中で読み進めることができるようになる。
 映画スリーピーホロウを彷彿とさせる第一部。スリーピーホロウよりもずっとダークだが、小説ならそのくらいの方がちょうど良い。第二部は、本書の訳者あとがきによれば、ダンテ「新曲」もしくわ、カフカ「」(どちらも未読)を想起させるらしい。第三部は、異論が出るかもしれないけれど、「AKIRA」のような雰囲気と言って良いだろう。
 本書は三部作の一作目。この後、「記憶の書」「緑のヴェール」へと続く。近日レビュー予定。
 ちなみに、翻訳者の一人は山尾悠子氏である。金原瑞人、谷垣暁美両氏の翻訳を山尾氏がリライトしたそうだ。

    

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SF・ファンタジー系の小説、漫画、映画のレビューおよび、8匹のねこが生息するペットブログを展開中☆

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採点は10点満点です。
6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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