ねこのすっぱ抜きサラダ 有川浩

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海の底 有川浩 書評

 6点

 横須賀基地が一般市民に開放される桜祭の日、未曽有の巨大生物が基地を襲った。逃げ惑う群衆を切り刻みながら上陸をつづけるレガリス。祭に参加していた子供たちは、自衛官の誘導で潜水艦に避難する。しかし、救出のためにヘリが近づくと、レガリスの群れが潜水艦を取り囲み、子供たちと、夏木、冬原両自衛官は逃げ出すことができなくなった。レガリスが潜水艦の外殻を破ることはできないようだが、閉じ込められた子供たちのあいだで確執が生じ、歪んだ人間関係が築かれようとしていた。
 救出しようにも、思うように火器の使用に踏み切ることができない警察と自衛隊。現実に脅威にさらされたとき、果たして政府は速やかにそれを排除することができるのか? SFというかたちを借りたシミュレーションが今、幕を開ける。

 組織と法律に縛られ、思うように身動きが取れない日本の問題点を指摘しつつ、潜水艦という限定された空間でしっかりと青春(というより、思春期の葛藤)を描いたラブストーリーでもあるという、有川浩一流のSF長編。
 巨大甲殻類の襲来、と聞いて、グロテスクなクトゥルーモノだと思って読み始めたのだが、凄惨な描写はほとんどなく、子供たちの勢力争いがメインテーマになっている。
 SFホラーを期待していたので、ある意味拍子抜けしてしまった部分もあるのだが、それでもグイグイ読ませてくれるのが著者の巧さなのだろう。気づいたらあっという間に読了していた。
 しかし、全体的にもう少し緊張感がみなぎっていた方が良かったんじゃないかと思う。バトルシーンは申し訳程度にしかないし、警察上層部のやりとりも、なんだかのほほんとしている。艦内の確執は「町内会の延長」なので、どこかヨソでやってほしいと思った。自衛官の夏木と冬原には感情移入ができなかった。二人ともこれでもか、というほどの正義漢なのだが、冒頭で見せた子供たちに対する言動に幻滅してしまったからだ。上官が死んだのはお前たちを助けたせいだ、とでも言わんばかりの短絡的なセリフである。ただ、それだけで本書を過小評価するべきではないだろう。採点は6、という結果になった。じゅうぶん良書である。
 本書の原典はスティーヴン・キングの「」(「骸骨乗組員」所収)だと思われる。同じような設定でも、まるで違う物語になっているので、ぜひ読み比べてほしい。こちらはバリバリのホラーです。



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空の中 有川浩 書評

 6・5点

 高度2万メートルに何かいる__テスト航行中の旅客機が爆散したのと同じ空域で、今度は自衛隊の戦闘機が”見えない何か”に衝突した。
 ちょうどその頃、高知の高校生・斉木瞬は、見たこともないクラゲ状の生物を発見。幼馴染の佳江とともに家に持ち帰る。餌は何かと試案しているところに、思ってもみない訃報が入る。爆発した戦闘機のパイロットこそ、瞬の父親だったのである。悲しみにくれる瞬は、ふとしたことから、謎の生物と携帯電話によって意思疎通がはかれることに気づく。
 事故調査委員・春名高巳は、戦闘機事故の生存者である武田光稀の元を訪れる。戦闘機は何かにぶつかった、2万メートル上空に何かいる__その証言は、人類が経験したことのない未知との遭遇の端緒にすぎなかった。

 評判が高いというのは知っていたが、ここまで面白いとは思わなかった。バリバリのSF、有川版「ソラリスの陽のもとに」といった感じ。もしくは、マイクル・クライトンの「スフィア」をも彷彿とさせる、ファースト・コンタクトものの傑作である。有川浩というと、キャラクター造形に秀でた作家であるが、本作でもその手腕が大いに揮われている。最初のうちは、事故調査委員の高巳がチャラくてうっとおしいと思っていたが、このキャラクターのおかげで物語が重くなりすぎなくて済んだのだろう。まるでパトレイバーのような軽快な作風で、最後まで飽きることなく、一気に読み進めることができる。
 ただ、もっとシリアスに描いた方が良かったのかな、と思う箇所もある。主人公・瞬のキャラが弱く、家を出る動機もあいまいだった。もっとそこら辺を深く掘り下げた方が良かったんじゃないかと穿ってみたりして。。。そうなってくると、今度は逆に、高巳のキャラクターが物語から浮いてしまうのか。。。とかなんとか、変に勘ぐってしまうのが悪い癖なのです。
 シリアスな設定なのに軽妙な物語、SFなのにきっちり青春グラフィティになっているという有川浩独特の世界。「塩の街」から確実に上達しているな、と思わせてくれる470ページでした。

   

塩の街 有川浩 書評

 6点

 塩害__あらゆるモノが塩に変わる現象により、空洞化した東京。人間もまた、塩害からまぬがれることはできなかった。ある者は恋人を失い、またある者は理性を失う。荒んでいくばかりの世界の片隅で、17歳の真奈は、ある日、秋葉という青年と運命的な出会いを果たす。不器用だが心優しい秋葉は、身寄りのない真奈を保護し、二人でひっそりと暮らしていた。しかし、塩害の拡大はとどまることを知らず、やがて二人は運命の歯車に巻き込まれていく。

 こう書いてみると、SF的な設定の中でラブロマンスが展開しているだけのようにも思えるのだが、SFもラブロマンスも両方ともしっかり物語を支えているのでご安心を。
 塩害の原因は、宇宙から飛来した巨大な塩の結晶によるものなのだが、その正体は最後まで判然としない。自衛隊の攻撃が有効だったのかどうかもわからないままなので、結末はやや弱い印象。しかし、全体的によくできているので、6点評価となった。作家として成熟した(のだろう)今の有川作品もぜひ読んでみたいと思いました。
 ちなみに、本書の原典はおそらくJ・G・バラードの「結晶世界」だと思われるので、そちらも合わせて読んでみてはいかがだろうか?



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6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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