アイ・アム 菅浩江 書評
介護ロボット・ミキ。目を覚ました時、ロボットである自分に違和感を覚える。好奇の目で見られることを悲しみ、患者の介助の際には、父の姿を思い出す。わたしはいったい何者なのか? 記憶はただのプログラムにすぎないのか? 小児科病棟では、子供たちの率直な言葉にとまどうこともあるが、建前のない態度は、いっそ心地良いと感じることもある。ロボットへの違和感(嫌悪感)がないからだ。そんなとき、入院患者の一人から衝撃的な事実を聞かされる。ミキの前任に就いていたロボットが、実は……。
人の尊厳とは何か? 人としての意識を失くした人間は「人間」と呼べるのか? 痴呆患者の尊厳は? 新生児の尊厳とは? そして、思考するロボットをただのモノとして扱ってもいいのだろうか? 衝撃的なラストに驚愕させられる。素直にこのラストを受けとめられるだろうか?
本書は2001年に祥伝社の400円文庫として上梓された。一頁の文字数も少なく、約150頁と読みやすい。その短い物語でこの重いテーマを語ろうというのだからすごい。
ハッピーエンドか絶望か、読み手によって印象は大きく変わるだろう。もしもこれが自分だったらどうだろう、と、、、

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