ねこのすっぱ抜きサラダ 恩田陸

三月は深き紅の淵を 恩田陸 書評

 6・5点

 本書は四部構成になっている。
第一章待っている人々……主人公鮫島は、無類の読書好きであることを見込まれて、上司の屋敷に招待される。そこで鮫島は、広大な屋敷に死蔵されている「三月は深き紅の淵を」という幻の本を探してほしいと依頼される。
第二章出雲夜想曲……二人の女性編集者が、幻の本「三月は深き紅の淵を」の作者を見つけるべく、出雲に向かう。夜行列車の中で作者の人物像について戦わされる議論。その切り口が鋭い。どんどん作者のベールが剥がされていくが、たどり着いた先で物語は思ってもみない結末を迎える。
第三章虹と雲と鳥と……崖の下で発見された二人の少女の遺体。死因は全身打撲。事故死として処理されたのだが、それに疑問を抱く関係者たち。証言を集める内、人物像が二点三転し、思いもよらぬ事実が浮かび上がる。はたして二人は事故死なのか、自殺なのか、それとも他殺だったのか……。
第四章回転木馬……今まさに「三月は深き紅の淵を」を書こうとしている小説家と、もうひとつの「麦の海に沈む果実」が入れ子構造となって語られていく。

 読み終わったところで、第一声。「つくづく読ませる作家だなあ」というのが正直な感想です。オモシロクない本は読むのに時間がかかるのだけれど、恩田作品は読むスピードが加速していく感じ。
 さて、本編であるが、上記のようなことを言っておいてなんだけれども、評価が割れる結果となった。第一章は、推理の段階は素晴らしくオモシロかったが、結末がイマイチ。第二章は高評価に値する秀作。第三章は好みに合わず、第四章はわかりづらかった。他の恩田作品に結末を預けたな、という印象。そう。この作品は一冊で完結していないのだ。第四章で「麦の海に沈む果実」が登場したことからも明らかなとおり、「黒と茶の幻想」や「黄昏の百合の骨」ともリンクしているようだ。(未読なのでわかりませんが)
 それでも、著者の文章力は読む者を物語の中にグイグイ引きこんでくれるので、時間を忘れて読み耽ることができるだろう。おすすめの一品です。

  


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麦の海に沈む果実 恩田陸 書評

 6・5点

 日本最大の湿原に浮かぶ寄宿学校に転校することになった理瀬。”2月の転校生が破滅をもたらす”という学園の噂は何を意味するのか?
 次々と失踪する生徒たち。ある者は湿原に沈んだと言い、ある者は迷路に姿を消したまま消息を絶っている。
 セレブの子息たちが集う学園で、また新たな事件が発生する。果たしてこの学園で何が起きているのか?
 
 あらすじを立てるとしたら、こんなところだろうか。
 しかし、何だかまだ書き足りないような気がする。本書の魅力はこれだけではない。
 男と女のあいだを行き来するカリスマ校長と、その親衛隊。
 まっすぐで誠実な黎二と、指揮者を目指すハーフのヨハン。二人のあいだで揺れ動く理瀬の気持ち。
 学園のいしずえとなった行方知れずの謎の本「三月は深き紅の淵を」。
 そして、理瀬に隠された秘密とは……。

 正直、ラストには拍子抜けしてしまったが、それだけでこの作品を評価するのは早計だろう。そこにいたるまでの過程や、作品世界は超一流のそれである。
 寄宿学校というと、ハリーポッターを想起する方もいるだろう。魔法は出てこないにしても、ミステリー版ハリーポッターと見なすこともできる。雰囲気はまさしくホグワーツ魔法学校といった感じ。
 また、「三月は深き紅の淵を」と同名の本が出版されているが、本書に登場する幻の本とは内容が異なっているらしい。しかし、理瀬が物語に登場するし、本書とはメタ的にリンクする内容になっているようなので、興味のある方は読んでみてはいかがだろうか。(近いうちに感想アップします)

図書室の海 恩田陸 書評

 6・5点

春よ、こい……卒業式の一日を何度も繰り返す少女たち。時間のループをほどくには……。
茶色の小壜……事故現場で救助活動をしていたのは会社の同僚だった。彼女は流れ出る血を見て笑っていた……。
イサオ・オサリヴァンを捜して……失踪した日系米兵、イサオ・オサリヴァン。彼の消息を追うとともに、その人物像に迫る。「大長編、グリーン・スリーヴスの予告編」(あとがきより)
睡蓮……従兄弟の家に引き取られた理瀬。憧れの従兄が連れてきた初恋の相手……。「麦の海に沈む果実」の前日譚。
ある映画の記憶……海辺で死んだ叔母は、溺死したにもかかわらず衣服が濡れていなかった。隠された記憶が今、よみがえる。
ピクニックの準備……夜のピクニックの前日譚。ピクニック前夜のそわそわした雰囲気が伝わってくる。
国境の南……なじみの喫茶店で起きた常連客連続不審死。犯人の目的は何だったのか?
オデュッセイア……移動する都市の年代記。大長編のあらすじのような一編。
図書館の海……憧れの先輩が読んでいた本を捜していると、自分と同じことをしている生徒がいることに気づく。「6番目の小夜子」の番外編。
ノスタルジア……いつも付きまとってくる幼馴染。久しぶりに旅行に行こうというのだが、どんなに待っても彼女はこない。実は彼女は……。

 一日かけて一気に読んだ。読みやすく、リズムのある文章なので、読むのが遅いぼくでもすらすら読めた。
 ミステリー、ファンタジー、ホラーに青春モノと、ジャンルの壁を越えて、多種多様な作品がおさめられている。様々な長編小説の番外編がそろっているので、根っからの恩田ファンはもちろん、初心者にとっても嬉しい一冊。

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SF・ファンタジー系の小説、漫画、映画のレビューおよび、8匹のねこが生息するペットブログを展開中☆

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採点は10点満点です。
6・5点以上がおすすめ。
6点は佳作。
5・5点は好みによる、といった感じです。

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