バフォメット クロソウスキー 感想

6点
ド・パランセ夫人であるサン=ヴィは、孤児となった甥を引き取ることで広大な領地を手に入れようと画策する。
しかしその土地は、聖堂(テンプル)騎士団に寄贈されていた。
聖堂騎士団を転覆させようと考えたサン=ヴィは、男色家たちの秘儀に引き取ったばかりの甥・オジエを送りこむ。
秘密の塔で執り行われる秘儀によって凌辱され、命を落としたオジエだったが、その魂は朽ちることなく永遠にこの世をさまよいつづけるのだった……。
マンディアルグと並び称されるフランス文学界の怪人クロソウスキーの異端小説。
内容はエログロながら、キリスト教に対するアンチテーゼを謳った宗教小説の側面をも合わせ持つ。
訳者あとがきにいわく、「クロソウスキー流の神秘的エロティスム形而上学の極致」であり、浅田彰氏によるところの、一見「荒唐無稽なポルノ霊界小説」なのだが、そこはクロウスキー、通り一遍にはいかないのである。
読んでる最中ははっきり言って何が描かれているのかさっぱりだったのだが、両氏による詳細な解題を読んでいるうちに、自分がとんでもない怪作を読んだ気になってきた。
これはもう一度読まなきゃならないパターンや!
(それでも、読書スケジュールにしたがって動く機械人間えんまーるは次の本に取りかかるのだった!)
いわゆる痛快な娯楽小説ではないし、胸をはって「これは面白いぞ」と言えるような類の本ではありませんが、読後の達成感には満足しています。
マンディアルグ好き、奇書好きな方におすすめです。

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