ねこのすっぱ抜きサラダ 横尾忠則

ぶるうらんど 横尾忠則 感想


6・5点
美術家・横尾忠則が描く幻想小説集。
芸術家として名を馳せる著者であるが、解説にいわく、「私がこれと目をかけた新人は必ず見事な作品を書」くのだと自負する瀬戸内寂聴氏からのすすめで小説を手がけるようになったのだという。
著者が72才のときに(2007~8年)書かれ、泉鏡花賞を受賞したというのだから、その多才さと、手がける作品のクオリティーの高さには目をみはるものがある。

ぶるうらんど……四作の短編からなる連作。死後の世界に暮らす老夫婦だったが、ある日突然妻だけが上位世界に昇華されてしまう。一人取り残された老小説家は、途方に暮れて一人奇妙な世界をさまようのだが……。
読んでいて想起したのは、千と千尋の神隠し
どこかノスタルジックな雰囲気が心地良い。
独創的な世界構造と登場人物の妙、トリッキーな構成にはアッと驚かされる。

ポルト・リガトの館……シュールレアリスト・ダリと面会することになった画家・唯則だったが、目の前にいるダリはすでに死んでいるのだという。はたしてこれは夢か現か? 時間と空間を超越した物語。
会話から着想まで、すべてにおいてシュールレアリスム。著者は実際にダリに会ったことがあり、相当ひどい扱いを受けたらしい。

パンタナールへの道……南米に横たわる大湿原を横断するバス。たまたま乗り合わせた元夫婦を通して、女から見たジェンダーと男から見たジェンダーが交錯する。大冒険の果てに待ち受けるラストにハッとさせられる。

スリナガルの蛇……インド・カシミール地方へとやってきた彫刻家とカメラマン。そこで出会った不思議な女との秘儀によって到達する境地とは?
密教の秘儀と思われるエロティックな儀式と日本の禅を対比させつつ、インドの貧困問題などにも言及する神秘的な一編。主人公にもたらされたのは涅槃の境地だと考えていいのだろうか? 不思議な魅力をたたえた作品です。

全編を通して著者の死生観が反映されており、小松左京のゴルディアス四部作(ハルキ文庫『ゴルディアスの結び目』所収)を想起した。読み比べてみるのも面白い。

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genre : 本・雑誌

tag : ファンタジー 感想

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